夏だから新しいことをしたい
メーリングリストを作りたい、いまのままダラダラとSNSを使い続けるのは良くないと思うから。TwitterやInstagramでは、人とのつながりが、プラットフォームを運営する企業によってフォロー/フォロワーに置き換えられていくわけだけど、それは僕の未来にとってなにか価値のあることなのだろうか?エアリプを繰り返していって、自分が宙ぶらりんになってしまうのが不安だ。
最近は同時期に参加する展覧会も増えたし、色々なところで文章を書いている。だけど自分の活動を分かりやすく、ストレスなく人に伝える方法として、SNSが適切だと感じることができなくなった。たしかに僕の活動はTwitterによってはじまったし、そうした文化と状況には感謝している。
あまりの多くの時間をSNSに使ってきた。だからこそインターネットのことを嫌いになってしまうのは耐え難い。もっと別の仕方で、ちゃんとインターネットのことを考えたい。
簡単にいえば、フォロー/フォロワーではなく、応援してくれる、追いかけてくれる方々のアドレスを集めることが大事だと思ったということです。これは反動ではなく、原理を考えるための試みです。
アドレスというつながりの羅列は、インターネットがなくならない限り資産になると思うし、そもそも僕はメールが好きだ。中学生のとき、ふたつのベッドルームのあいだで往復するメールの件名に「Re:Re:Re:Re:」と同じ文字が重ねられていく時間は手をつないで歩くよりも特別だったから、汗ばんだ指先によって濡れてしまったプラスチックのことを思い出す。頑張って考えた文面はちゃんと届いてるかな、ガッカリされたりしたらどうしよう?不安になったり嬉しくなったりする。センターに問い合わせをする、なにも届いていない、届かない。光らない画面。そうした時間が幸せだった。
それはコロナ禍において、15年ほど前に書かれたケータイ小説を読み直す経験によって呼び起こされた記憶である。今となっては参照されることの少ないこの文学ジャンルは、固有名からどこまでも遠くに赴く物語だ。しかしそのなかに突然に差し込まれる名前たち。それはエアリプによっては到達することのできない具体性の領域だ。中学生の自分が没頭していたブログの運営において、アクセス数を少しでも増やすために固有名の量の調整を日々行なっていたことを思い出す。
「いいね」や「既読」ではなく、言葉に言葉を重ねることが私たちにはできる。だからタイムラインでなされる空中戦とは違う仕方で、言葉を使いたい。
上のボックスからメールアドレスを登録できます。配信される内容としては、活動報告(展覧会やイベント、各種雑誌やウェブメディアへの寄稿などの情報)、日記、読んだ文章や展示の感想、あとは文章の練習をすると思います。あと、登録した以前の配信内容も、このサイトで読めます。
まずは一方通行で、布施琳太郎から言葉が配信されるという形をしばらく継続することになりますが、それをメールボックスのなかで読んでもらうことには、とても小さな希望を感じています。なにかもっと双方向的で楽しいことを思いついたら、それも良いな、くらいの、そんなお試しにお付き合いください。
要するに、個別の、完成された発表だけでなく、布施琳太郎の考えていることや感じていることに関心のある方のための情報発信をSNS以外の仕方でするということです。Twitter、Instagram、note、Google Drive、はてなブログ……なんにせよ、どこかの企業が管理するサーバールームのなかにだけ自分の言葉が保管されているのではなく、テキストが物質として、どこにあるのかも分からないデバイスやサーバーに分散して保存されている景色にうつくしさを感じたい。
あくまで物質として、言葉や素材と向き合っていたいから僕はアーティストの道を選んだのだと思う。だから、いま、あなたが握っているデバイスのなかに僕の言葉が保存されてくれるのなら、と妄想している。
とりあえずSubstackというサービスを使ってメール配信を行いますが、あくまでメールアドレスのリストは僕の手元に残ります。なので、このサービスがなくなっても、なんの問題もなく配信を続けることができます。別にSubstackでなくてもよかったんですが、利便性で選びました。あと途中から登録した人も過去の配信を読めるのも良いかな、と思って。
メールという方法を通じて僕やあなたの思考の枝葉が、もっと自由に伸びていくことができたらうれしい。そのためには、あなたをはじめとした誰かがこの言葉を読んでいる(のかもしれない)という実感が必要です。それこそがエネルギーになります。なのでアドレスの登録、よろしくお願いします。
もしも提案や感想、質問などがあればrintarofuse@gmail.comまでメールしてください。